「本日はめでたき日なれば、 丙姫《へいひめ《様は、 重々お行儀よくなされますよう、
ひらに、 ひらに お願い致しますぞ」
huukserのblog
半ば無駄とは知りつつも、
言わずには居られない 家来の心情を 歯牙にもかけず、
丙姫は、 お気楽に請け合った。
「分かったから、 まっかせなさーい。
なんてったって、 姉上の晴れの門出、 一番気合が入る日だものね。
盛り上げるわよ~ん」
お姫様とは名ばかりの、 ざっくりとした態度である。
「姫様、 盛り上げなくていいですから。
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むしろ、 何もしないでいてくださると助かります」
「いいから、 いいから。 遠慮せずとも良いぞ。
次は、 乙《おと《姉さま、 その次は、 むふふふふ、わ・ら・わ・の番なのだし。
せっせと盛り上げねば」
hulahua
当代の将鞭には 四人の姫君と、 幼い若君がいた。
姫君の名は、 上から 甲姫、乙姫、丙姫、丁姫。
ついでに言うと、 若君の名は、子若《ねのわか《である。
図らずも、 甲姫の祝言の日であった。
母親の美貌を受け継いで、 一族の誰もが 自慢したくてたまらない甲姫の相手は、
平蔵という。
顔は不細工だが、
gilrmananger‘blog
ひときわ力量に優れ、 すでに すぐれた働きをしている若者だ。
いずれは 九十谷を支える人物になる、 との期待を一身に背負っている。
丙姫が盛り上げなくても、 十分に盛り上がっていた。
「へい、 姫様。 ここにおいででしたか」
腰元が来た。
「小梅、 おかしなところで、切るな。 何度も言ってるよね」
「おや、 何の事でございましょう。
それより、 銀次郎から報告がございました。 手配は済んだそうにございます」
小梅の言葉に、 丙姫は満足げに笑った。
「よしよし」
Kissbabyyou