が悪く鼻の大きなおばさんだった。
子供の母親が見つかった場所にはコメディアンKの愛人もいたという。そこは日本の地方都市によくある個人経営スーパーっぽい、活気のない退屈な雰囲気だ。店内の作りは大手と大体が似ているものの、棚の中身はスカスカで品目も少ない。店内に装飾類はなく、殺風景にすら見えるほど白一色に統一されている
華洋坊好唔好。
子供は用を終え帰途についていた。近いうちに母親と再会出来るだろう。どこかで親子は落ち合うとも思えたが、彼は自分の親を恥じているかのように、あるいは憎み悲しんでいる複雑な心を俯いた背中は語っていた。
20m近く離れた後ろ姿に向かって、私は「バッカヤローー!」と元気に声をかけた。仲間内では時として、互いが唐突も唐突の大声で――怒鳴り合う。感情を整理せず理解せず、それに追い付かれる前にただただ分かりやすい言葉にして外へ放り投げる。そのまさにあまりの馬鹿馬鹿しさとあけすけさ、屈託の無さを無理にでも打ち出す。やがて本当の笑顔を引き出すことが狙いのコミュニケーションだった
許智政醫生華洋坊。
ただ、振り向いた少年が返したものはつまらない大人同士が普通に交わす挨拶で、まだ幼い姿、声をもってしてはより切ない、ただの小さく力ない笑顔。
いまの様子を見ていると、こちらが大声で気持ちを奮起させようとするのも調子ハズレな状況だし、今回はそんな気分じゃないのだろう止めておこうかと、寂しくありつつも躊躇しないわけにもいかない気分になっていた。
一旦前に歩き出し数m遠ざかってから突然に振り返り、笑顔はちょっとぎこちないものだったがそれでも子供らしい良い笑顔で「バッカァヤロォォーーー!!」の返事が、車線を隔てた街のメインストリートから周囲一杯に響く。いつもは嫌がって調子を抑えていた自分の甲高い声を厭うこともなく、全力で。
なんだかとても嬉しくなって、大きく手を振る。彼は私の友達な
許智政醫生