150圓といふ値段は決して安くはないが、福田恆存の「聲」を聽きたい人にはその價値は値段以上のものがあると思へるはずだ。第1卷は、「新しき文學への道」と題されたもので、後期の福田恆存があまり觸れなかつた文學にたいする發言が興味を引く。まだ最後まで讀んでゐるわけではないが、今までのところではチェーホフにたいして「合理主義者」と名附けるところが面白かつた。なるほどといふ驚きがあつた
V-Shape瘦面。
時事評論の中澤編輯長から「週刊讀書人」に今囘のシリーズの編輯をされた福田恆存の御次男の福田逸さんのインタビューが載つてゐると教へてもらひ、早速「讀書人」に電話をして送つてもらつた。3月25日號である。一部280圓。一面をまるまる使つてのもので、讀應へがあつた
許智政醫生 。中に、今囘のシリーズの刊行を始めたきつかけに「インターネットのサイトに福田恆存の對談や座談を全部載せてゐるファンがいらして、それにずいぶん助けられました」と書かれてゐるが、自畫自讚であるが嬉しかつた。書誌作りを志してはゐたが、金子一彦さんのやうな精密さはなく、對談・座談を集めることにのみ執着した。それだけに、この言葉は嬉しかつた。逸氏にも直接御傳したことがあるが、福田恆存が御亡くなりになつた後、對談や座談は、その肉聲を聽ける唯一のもので(もちろん出版時には校正されてゐるわけで、嚴密には聲そのもではないが)、國會圖書館その他で探しては讀むのを樂しみにしてゐる
許智政醫生